2008年02月27日
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「明日菜=ネギの母親」仮説と「ネカネは姉か」問題

Written By: 川俣 晶連絡先

御注意 §

 これは単純に可能性を弄んでいるだけの文章なので、内容が妥当であるかは一切保証できません。もっと丁寧に読み込んでいるネギま!ファンは多いので、もっと早い時期に、もっと深く考察しているサイトもあります。この程度は「ぬるい」と思った方が良いでしょう。

 だから、この文章の内容を信じてはいかんぞ! (笑。

前置き §

 既に書きましたが、ネギと古菲が結ばれるという仮説を弄ぶと、ネギと明日菜が結ばれない合理的な欲しくなってきます。

明日菜とネギに血縁? §

 深い愛情を相互にいだきつつ結ばれない理由を考えれば、血縁が最も最初に思い付く関係です。

 ここで、「明日菜とネカネがあまりによく似ている」「ネカネはネギの姉である」という2つの状況から、「明日菜とネカネには血縁があり、必然的に「明日菜とネギにも血縁がある」という結論を導き出せます。

 ところが、この結論を単純にナギにまで拡大すると、矛盾が生じます。つまり、「ナギとネギは血縁である」「明日菜とネギにも血縁がある」という2つの主張を単純に合成すると、「ナギと明日菜にも血縁がある」となってしまうのです。しかし、ナギと黄昏の姫御子の初対面シーンを見ると、どう見ても赤の他人です。(血縁だが互いにそれを知らなかっただけ、というケースはここでは除外して考える)

そして浮上するネギの母親仮説 §

 この矛盾を解消する方法は、おそらく「明日菜=黄昏の姫御子はネギの母親である」と考えるしかありません。これで、ナギと黄昏の姫御子は赤の他人として出会いつつ、ネギは2人と血縁があるという状況が成立します。

 一見、中学生が10歳の子供の母親になるのは奇異に見えますが、アルが黄昏の姫御子の年齢を「見た目通りとは限らない」と言っていることや、膨大な魔力さえあれば時間移動できる装置が存在することから、十分にあり得る可能性と考えます。

この仮説の長所 §

 ネギが明日菜のベッドに潜り込む理由。明らかに明日菜の好みではないネギを、明日菜が構い続ける理由を明確に説明できます。

その仮説待った! §

 ところが、この仮説は大きな伏兵があります。

 大前提となる「ネカネはネギの姉である」という仮定が実は不確実であるからです。

 65時間目で、ネカネはナギではない男に「お父さま」と呼びかけています。この「お父さま」は、おそらくネギが住んでいた離れを含む家を所有する男です。石化されて、20巻185時間目に石の姿で出てきます (実は今まで見落としていた!)。

 WikiPediaの記述も実の姉ではないと説明しています。

 しかしそれで確定かというと、必ずしもそうとは言えません。たとえば、魔法先生ネギま!研究所ではネギの姉(従姉弟?)と疑問符が付いています。

 実際、「実の父親であるナギを失ったネカネは養女としておじさんに引き取られ、それ以後おじさんをお父さまと呼ぶようになった」という可能性までは否定できません。

 他に、以下のような疑問要素もあります。

  • 「お父さま」という呼びかけは他人行儀である (ナギのことはネギに対して「あなたのお父さん」と表現していて、もっと親しい呼び方)
  • 惨劇の夜に出現したナギは、ネカネを呼び捨てにしている (他人の娘とは思えない親しさ?)
  • 惨劇の夜に出現したナギは、ネカネがネギの姉であることを一切の疑問無く受け入れている

 最後の1つは補足説明を加えます。もし、ネカネがネギにとって「姉のように親しい女性」という意味で「お姉ちゃん」と呼んでいたとすれば、ずっと村から離れ、当初ネギをネギと認識できなかったナギが、ネカネをネギの「姉」と受け止めるのは不自然です。(とはいえ、勘の良いナギがその場でネギにとっての「お姉ちゃん」だと察知して話を合わせたという可能性も否定できない)

だが決定打はない §

 しかし、これらの情報を総合しても確定的な結論は出てきません。

 つまり、ネカネが何者であるかは(少なくとも21巻までの範囲では)、不明であるというのが正しい解釈でしょう。

不明=有益な情報 §

 実は「不明」という結論は、それ自身が有益な情報たり得ます。

 ネカネ周辺の情報を調べてみると、どうも意図的に解釈が確定しないように描かれているように感じられます。たとえば、上記の「おじさん」はスタンおじいさんと違って名前すら出てきません。

 とすれば問題は、なぜ解釈を確定させてはならないかです。

 おそらくそれは、そこに作品の核心があるからでしょう。

 ネカネの立場を明確にすると、おそらくネギと明日菜の関係も明確になります。そして、それはネギま!という作品において、最も核心的な謎と位置づけても良いと思います。下手をすると、そこから芋づる式に超やフェイトの立場や目的なども分かり、それだけでネギま!の謎の9割以上が解けてしまうかもしれません。

 それゆえに、ネカネの謎とはネギま!の謎を解くためのキーであり、最重要ミステリーであると位置づけられるかもしれません。

 つまり、「不明」という結論は逆説的に宝の在処を示す「最も有益な情報」に化ける可能性もあり得るわけです。

 ……まあ全ては可能性の問題に過ぎませんが (笑。

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